キース・ジャレット 音楽のすべてを語る [本]
久しぶりに読んでみたくなってパラパラめくっていました。
キース・ジャレット 音楽のすべてを語る、立東社、1989年
ジャズ・ピアニストとひとくくりにできないピアニスト、キース・ジャレットの音楽に対する考えを、インタビューを元に編集した本です。
今読み返してみても興味深いことが書かれています。
例えば、演奏について。
ミュージシャンに演奏能力があり、彼の指を動かすことができる。これが第1段階。次に第2段階は、そのミュージシャンが自分の指が動いているのを聴く。そして、この2つの段階、これが基礎段階だ。
-中略-
第3段階は指がどのように音を出しているかに耳を傾けること。強く、弱く、あるいはそれらがどんなふうにサウンドしているか、タッチ、きみの持っているのはどんな種類のタッチか、バランスはどうだろう、これらのことを聴きとるのが第3段階だ。
バロック音楽について。
バロック時代の方がロマン派の時代よりもずっと演奏者に表現の自由があったんだ。はるかに。
-中略-
バロック時代にはインプロヴィゼーションの能力が必要とされた。やろうと思えばできるというのではなくて、インプロヴァイザーであることが演奏家の条件だったんだ。この2つのことは違う。
バッハの音楽について。
そもそもバッハの音楽には、ダンスと教会(宗教)の2つの要素がある。今までの演奏家は、そのダンスの要素を十分に表現していないと思う。(『ゴルトベルク変奏曲』の)アリアにも動き(move)がある。多くの演奏家はちぢこまっている。バッハを真面目に弾こうと思えば動いてはいけない、とでも言いたげな演奏家が多いんだ。
-中略-
とてもゆっくりした曲でさえ、それはテンポ、パルス(pulse)と関わっている。それなのに、たいていのクラシックの演奏家はパルスをプレイしない。彼らは何かをプレイしている。しかし、そこにはパルスがない。彼らはテンポをプレイしている。けれども、ぼくにとってはテンポの中にパルスが含まれているんだ。
ピアノを教えることについて。
たとえば「重力に欠ける。きみの音には重みがない」と言ったとする。そこでこの生徒は、ぼくに言われたから、その音に重みをつける。でも、それは本来の重みとは違うでしょう?意識的な覚醒状態にある重みではない。ただ重くなってしまうだけ。
残念ながら絶版です。
本日の練習:"70 Easy to Intermediate Pieces for Renaissance Lute"の49、51。
キース・ジャレット 音楽のすべてを語る、立東社、1989年
ジャズ・ピアニストとひとくくりにできないピアニスト、キース・ジャレットの音楽に対する考えを、インタビューを元に編集した本です。
今読み返してみても興味深いことが書かれています。
例えば、演奏について。
ミュージシャンに演奏能力があり、彼の指を動かすことができる。これが第1段階。次に第2段階は、そのミュージシャンが自分の指が動いているのを聴く。そして、この2つの段階、これが基礎段階だ。
-中略-
第3段階は指がどのように音を出しているかに耳を傾けること。強く、弱く、あるいはそれらがどんなふうにサウンドしているか、タッチ、きみの持っているのはどんな種類のタッチか、バランスはどうだろう、これらのことを聴きとるのが第3段階だ。
バロック音楽について。
バロック時代の方がロマン派の時代よりもずっと演奏者に表現の自由があったんだ。はるかに。
-中略-
バロック時代にはインプロヴィゼーションの能力が必要とされた。やろうと思えばできるというのではなくて、インプロヴァイザーであることが演奏家の条件だったんだ。この2つのことは違う。
バッハの音楽について。
そもそもバッハの音楽には、ダンスと教会(宗教)の2つの要素がある。今までの演奏家は、そのダンスの要素を十分に表現していないと思う。(『ゴルトベルク変奏曲』の)アリアにも動き(move)がある。多くの演奏家はちぢこまっている。バッハを真面目に弾こうと思えば動いてはいけない、とでも言いたげな演奏家が多いんだ。
-中略-
とてもゆっくりした曲でさえ、それはテンポ、パルス(pulse)と関わっている。それなのに、たいていのクラシックの演奏家はパルスをプレイしない。彼らは何かをプレイしている。しかし、そこにはパルスがない。彼らはテンポをプレイしている。けれども、ぼくにとってはテンポの中にパルスが含まれているんだ。
ピアノを教えることについて。
たとえば「重力に欠ける。きみの音には重みがない」と言ったとする。そこでこの生徒は、ぼくに言われたから、その音に重みをつける。でも、それは本来の重みとは違うでしょう?意識的な覚醒状態にある重みではない。ただ重くなってしまうだけ。
残念ながら絶版です。
本日の練習:"70 Easy to Intermediate Pieces for Renaissance Lute"の49、51。
先日あるバッハの講座に行ってきました。
その講師の先生に昔「ケルンコンサート」を初見で弾かされましたが、もちろん弾けませんでした。(笑)
キース・ジャレットはバッハにも造詣が深かったのですね。
絶版なのが残念です。
でもこの記事を拝見させていただき、あの先生が「ケルンコンサート」を弾かせた理由もわかってきました。
by Cecilia (2009-11-23 08:54)
トメサンさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-23 09:30)
父ちゃんさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-23 09:36)
りんこうさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-23 09:37)
くちボンさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-23 09:37)
shinさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-23 09:38)
Ceciliaさん
nice&コメントありがとうございます♪
キースはバッハのアルバム、「平均律」とか「ゴルトベルク」を録音しています。
バッハの作品にダンスの動きを要求していますが、古楽の研究が進んだ今ならともかく、この当時としては先進的な考えだったと思います。
この本は、図書館にあるかも知れませんね。
by nyankome (2009-11-23 09:58)
やまがたんさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-23 09:58)
重力に掛ける。
いい、表現ですね^^
by ulyssenardin36000 (2009-11-23 10:19)
記憶が曖昧なんですが、昔、クラシックをテーマに
ジャズピアノで有名な二人、つまりジャレットとチックコリアが
同じ曲を演奏するのですが、全然違うんですよね。
どちらが良い悪いではなく、興味深かったことを覚えています。
(*^ω^)ノ
by ぷーちゃん (2009-11-23 14:37)
xml_xslさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-23 15:40)
ほりけんさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-23 15:40)
c_yuhkiさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-23 15:40)
ulyssenardin36000さん
コメントありがとうございます♪
キースの音楽に対する考えや、その表現が興味深いです。
by nyankome (2009-11-23 15:42)
ぷーちゃんさん
nice&コメントありがとうございます♪
キースもチックも大好きです。
二人のスタイルは全く異なりますよね。
そこがジャズのいいところだと思います。
by nyankome (2009-11-23 15:44)
walter van hauwe先生も同じことを言っていました。
「あなたはなぜそういう演奏を選んだのですか?」
「そのフレーズに対してひとつしか動きがないというわけではありません。」
「同じ演奏は3回以上してはいけません。」
全くそのとおりです。
by yuka (2009-11-23 17:30)
絶版ですか、残念ですね。「パルスがない」と言いますが、電子回路で使うパルスとは違うようですね。
by mwainfo (2009-11-23 18:02)
キース・ジャレットは私のとても好きなピアニストです。
「ケルン・コンサート」
「スタンダーズ」
仕事でストレスを感じると、
これを車の中でかけながらよくナイトクルーズしてました。
夜の車のなかのBGMでこれほど合うものはないと思いました。
私のジャズをやる友人にはキースのピアノはジャズではない
という人がいましたが、
私にはどっちでもかまいません。
ただ、私の心によく磨きこまれたガラスの破片のように
私の心に突き刺さって抜けません。
by lucksloop (2009-11-23 21:25)
教えるのは難しいです!教えてもらうのも!
それぞれの人のフィルターを通して他人の言葉を理解しようとするのですから。
by Halumi (2009-11-23 23:16)
yukaさん
コメントありがとうございます♪
漫然と弾くのではなく、「なぜそういう風に弾くのか」が大切なのですね。
それが覚醒しているということなのでしょう。
難しいです。
by nyankome (2009-11-24 00:27)
mwainfoさん
nice&コメントありがとうございます♪
人間の脈もパルスですよね。音楽の脈のことでしょうか。
本もCDもDVDも欲しいと思ったときに買わないとすぐに絶版になります。
by nyankome (2009-11-24 00:30)
くーぷらんさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-24 00:30)
スザンナさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-24 00:30)
lucksloopさん
コメントありがとうございます♪
キースを初めて聴いたのが大学生のとき。
もちろん「ケルン・コンサート」でした。
それ以来たくさんのアルバムを聴きました。
コンサートにも行きました。
いまでも大好きなピアニストです。
「スタンダード・ライブ-星影のステラ-」も好きなアルバムで、よく聴きました。
by nyankome (2009-11-24 00:35)
Halumiさん
nice&コメントありがとうございます♪
思いをいかに理解して貰うか、または理解するか、そしてそれを実現するか・・・難しいですね。
by nyankome (2009-11-24 00:37)
doraさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-24 00:38)
小父蔵さん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-24 06:19)
キース大好きです。
絶版とは残念!
高熱の中で演奏されたというケルン。楽譜が出たので弾いてみましたが音楽は音符では割り切れないものを感じます。
by purizumu (2009-11-24 15:22)
さとふみさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-24 20:06)
miopapaさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-24 20:07)
purizumuさん
コメントありがとうございます♪
楽譜出ていましたね。
これも残念ながら今は手に入らないようですが。
こういう音楽は楽譜に表せない部分が多いですね。
この本にも部分的に譜例が載っています。
ギターへ編曲された楽譜も出ました。
by nyankome (2009-11-24 20:09)
gyaroさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2009-11-25 00:09)