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『響きの考古学』 [本]

ギターを弾いているときは気にならなかった音律のことですが、リュートを弾くようになってからは、歴史的な楽器であることやフレットが動かせることもあって、音律の仕組みについて調べてみたくなりました。

インターネットでは、なかなか詳しい知識が得られなくてどうしようかと思っていた矢先に見付けたのが、この本です。

増補 響きの考古学』藤枝守著(平凡社ライブラリー

古代ギリシャ、古代中国、アラブ、西洋そして現代の音律と歴史的な音律の変遷をたどる読み物です。

筆者は、12平均律から脱却し、純正調に理想の響きを求めています。純正律のギターの写真も載っているのですが、本来全て平行であるフレットが、ところどころ切れて位置がずれています。このギターは指板が交換可能になっていて、平均律のほかいくつかの調の純正律、ピタゴラス音律、ミーントーンを弾き分けられるようになっています。指板が交換可能というところがアイデアですね。リュートならフレットをずらすだけで済むのですが。

バッハの『平均律クラヴィーア曲集』の「平均律」はウェル・テンペラメントの誤訳であることも書かれています。現代の12平均律とは異なるようです。

本日の練習:指ならしに3音のアルペジオの練習、"40 Easy to Early Intermediate Pieces for Renaissance Lute"のNo.5と8、ダウランドの"Lachrimae"と"Sir John Smith, His Almain"。


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Cecilia

昔通っていた教会に純正率コーラスをしている方がいらっしゃったので、その言葉を知りました。
今所属しているコーラスは純正率とか無縁なのですが、私としては純正率で美しくハモってみたいです。
by Cecilia (2007-02-19 22:54) 

nyankome

Ceciliaさん
nice&コメントありがとうございます♪
あまりに早いコメントでびっくりしました。
この本で理屈はある程度分かったのですが、実践はまた別ですね。
具体的にどう調律していくのかが、まだイマイチ分からないです。
基本的な質問ですが、純正律コーラスの場合、伴奏はどうするのでしょうか。現代のピアノは12平均律で調律されているのですよね。
by nyankome (2007-02-19 23:11) 

アートフル ドジャー

響きですか?どんな内容か興味があります。今は売却した持ち家を建てる際に高音・低音の響きに関する建築・音楽の著作多数読んだんですが・・・ご紹介の本は未見です。
by アートフル ドジャー (2007-02-20 11:33) 

nyankome

アートフル ドジャーさん
nice&コメントありがとうございます♪
これは音響学の方面ではなく、和声(和音)の響きの本です。
我々が現代使っている12平均律は和音が濁るのです。
その辺りを歴史的な面から探るという内容です。
by nyankome (2007-02-20 17:21) 

さんとす

とうとう古典音律に足を踏み入れましたね^_^v
私にとってはルネサンス時代の曲を演奏するときはミーントーン以外は考えられません。
 たとえばダウランドの My Lady Hunsdon's Puffe(P054)の三小節目、ここの意外感はミーントーンで調律されたリュートでないとその意図が伝わりません。ギターの名手などが弾いたものを聴くとその和音を引き立たせる為に意識的に音色を変えたり必ず何かやってますね。ミーントーンだとそのまま弾けば良いだけです。
 音律の世界は深いです。いまでも新しい音律が考え出されているくらいですからね。以前ポール・オデットは1/6ミーントーンで調律してる、などという話を聞いていましたが、本人に尋ねたら1/6ではうまく機能しないので今は1/5で調律しているんだそうです(二年前です。巨匠といえども常に進化の道を探していますから今もそうかはわかりません)。
 実践に役立つのは古い本ですが平島達司著『ゼロビートの再発見』とその『技法編』ですね。ながく絶版でしたが(株)ショパンから復刻されています。
by さんとす (2007-02-20 19:25) 

clara

音律ですか。以前受けた授業で、面白いものがありました。
先に話題になっていました、Bachの「平均率クラヴィーア」を12音律の現代のピアノと調律を変えたクラヴィコードを並べ、交互に弾いていくというものでした。
違いは明らかで、ピアノはなんということなく、悪く言ってしまうと無味簡素で、古典調律にすると、意図的に音を当てたところやぎこちなく聞こえる音まで、その調性の色が、はっきりと見えてきました。私も「平均率」はピアノで、何の疑いも無く、弾いていたわけですが、目からうろこでした。
さて、リュートも、もう半年も前から、音楽学の先生から、ミーントーンにしてみたらと言われながらも、躊躇していて、リュートの先生に言ってみたこともあるのですが、「やってみたらいいですよ」といわれたものの、もう少し、リュート自体に慣れてからと思い、まだまだ、躊躇しています。
nyankomeさん、する時があったら、教えてください。私も勇気を振り絞ってやってみます!
この授業の時に、紹介された本もわかりやすそうでした。購入しようと思って忘れていましたが、早速注文してみることにします。
長くなりました、ゴメンナサイ
by clara (2007-02-21 11:07) 

nyankome

さんとすさん
コメントありがとうございます♪
claraさん同様、そろそろ踏み入れようかな、でももう少し上手になる方が先かな、と迷っています。
確かに、12平均律だと作曲者の意図が伝わらない、調性感が希薄という欠点がありますから。
ご紹介の本探してみます。
by nyankome (2007-02-21 20:14) 

nyankome

claraさん
コメントありがとうございます♪
それは興味深い授業ですね。授業で紹介された本はどのようなものでしょうか。注文されてよかったら、またご紹介下さい。
by nyankome (2007-02-21 20:18) 

さんとす

 たしかに慣れないとミーントーンの調律は難しいですね。しかし、その響きに慣れるともう元には戻れません。
 ところで平均律を擁護するわけではないのですが、近現代のピアノ曲などは平均律がぴったり、例をあげれば、平均律で調律されたピアノが広まり始めた時代のドビュッシーの前奏曲集など。音と香りは夕暮れの大気に漂う... (...Les sons et les parfums fournent dans I'air du soir) などは平均律でなければ漂う雰囲気はでないでしょう。
 また、フレット楽器は16世紀から平均律に近い調律法も各種提案されていて、先日このブログでも話が出たヴィンチェンツォ・ガリレイ氏も1581年に、半音を17:18(99セント)とするリュートの調弦法を述べています。これはほぼ現代の平均律と同じといってよいものです。ちなみにこの半音が99セントの調律法は近代のギター、トーレスとかサントス・エルナンデスらが採用していた方法でもあります。
by さんとす (2007-02-22 12:18) 

imyfujita

音律は難しいのですが、不確定性原理から、平均律の位置付けをしています。
http://www.geocities.jp/imyfujita/wtcuncertainj.html
これは、「聖律の音楽」という平均律のページの一部です。
by imyfujita (2007-02-22 21:35) 

nyankome

さんとすさん
再訪&コメントありがとうございます。
私はまだまだ勉強不足です。
ただ私も12平均律を完全に否定する訳ではありません。
さんとすさんが仰るように、12平均律に適した(そう作曲者の意図した)曲もあるでしょう。
演奏技術の習得とともに確かな耳も持たなければいけないと思います。
師匠が「心地よい響き」と仰っていました。
by nyankome (2007-02-22 22:00) 

nyankome

imyfujitaさん
記事を興味深く拝見しました。
ただリュートで弾かれるルネッサンス音楽では、ミーントーンで調律することを前提に書かれた曲があることも事実ですし、12平均律だと響きが異なって聞こえます。
聖律のトリック、確かに微妙な音の変化に耳は慣れていきますね。でも最初を聴いてすぐに最後に飛ばすと気持ちが悪いです。
まだまだ勉強不足ですので、勉強を続けます。
by nyankome (2007-02-22 22:08) 

nyankome

yumaさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2008-06-23 20:44) 

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