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エマ・カークビー&ヤコブ・リンドベルイ [コンサート]

 とうとうこの日がきました。待ちに待った、エマ・カークビー(ソプラノ)とヤコブ・リンドベルイ(リュート)のコンサート(ザ・フェニックスホール)に行ってきました。

約300席と小さいホールですが、リュートを聴くにはうってつけです。このホールは、大阪駅の近くのビルの中にあり、舞台の背後はガラスになっていて、都会の夜景をバックに演奏を楽しめます。ホールは満席でした。

【第一部】
ジョン・ダウランド(1563-1626)
訪れよ、深い眠り
ことばで心を動かすべきか?
羊飼が木蔭で
ぼくが横たわった泉のそばで
このわがままな小僧たちを追い払え
ラクリメ*
エセックス伯のガリアード*
来い、おまえたち夜の重苦しさよ
さらば 冷たい人よ、さらば
プレリュード*
ファンタジア*
ぼくの心を乱さないで
ぼくを暗闇にいさせよ

【第二部】
ヘンリー・パーセル(1659-1695)
彼女は愛し、また告白もし
ポプラの木陰に私を葬って
噂ではあなたは強い力は
おお、わたしをどこか安らかな闇へ
気狂いべス
なんと悲しい運命
リュート用に編曲された(7つの)舞曲組曲*
やめよ、不安げな世よ
すばやく行け、時間よ

【アンコール】
私を慰めるもの(J.ブロウ)
おお、イエス、快い御名よ(H.シュッツ)
フィリスは浮気だから(J.B.ボエセ)
夕べの賛歌(H.パーセル)

*はリュート・ソロ

さんとすさんがつくばノバホールでのコンサートの様子をコメントして下さっていますが、私も感じたことを書きます。

まずは、1590年製作のリュートの音ですが、あんな音は聴いたことがないです。柔らかで、芯があって、新鮮で、響きにうっとりしっぱなしでした。リンドベルイはテーブルの上に楽譜を広げていましたが、右足に低い足台を置き、ストラップを付けてリュートをやや高めの位置に構えて弾いていました。楽器をやや立て気味にして、高いときにはナットが目の位置にまできていました。あの楽器を弾くためかも知れませんが、やや硬めの音で弾いていました。

演奏は滑らかで安定していて、強く弾いているようには見えないのですが、弱音でもよく通る音で、ホールいっぱいに芳醇な香りが漂っているようでした。

一方エマ・カークビーの歌声ですが、さすがに苦しそうなところもありましたが、透明感があって、若々しく、表現力が素晴らしいですね。基本的には椅子に座って歌うのですが、ときには立って身体全体を使って表現していました。

アンコールは4曲も演奏してくれました。

この二人の演奏は、いつまでも聴いていたいと思いました。

終演後にサインを求めて長蛇の列ができていましたが、お二人とも丁寧にサインして下さいました。少しお話もでき嬉しかったです。エマさんはとても上品で綺麗な方でした。

本日の練習:指ならしに3音のアルペジオの練習、"40 Easy to Early Intermediate Pieces for Renaissance Lute"のNo.5と8、ダウランドの"Lachrimae"と"Sir John Smith, His Almain"。


(追記2007.2.25.)第二部の1曲目、「彼女は愛し、また告白もし
」は、John Potter(テナー)も録音しています。試聴はこちら。10. She Loves And She Confessesです。


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コメント 10

くーぷらん

本当に素敵なコンサートでした。また機会があれば聞きたいです。
練習意欲が増大中。
by くーぷらん (2007-02-21 21:44) 

izumi

500年前のリュートの音
どんな音でしょう・・・もう体験したくてたまりません。
素敵なコンサートだったのですね。

さんとすさんが?『歌う』というより『語る』そしてそれが親密な音楽となっていく過程を堪能した・・・とおっしゃられたことが私にもわかるような気がします。。。。というか?『歌う』というより『語る』そしてそれが親密な音楽となっていく。。と言う意識が私の中にはっきり表れたのがリュートソングでした。
by izumi (2007-02-21 23:05) 

nyankome

くーぷらんさん
コメントありがとうございます♪
よかった!ため息が何回出たことか。
今朝リュートを弾いてみたら、タッチが変わっていました。嘘のような本当の話です。元に戻らないことを祈ります。
by nyankome (2007-02-21 23:59) 

nyankome

izumiさん
nice&コメントありがとうございます♪
一言で言えば、妙なる音でしょうか。あんな音初めて聞きました。
リュート・ソングは、歌い手と、耳を傾けないといけない楽器リュートによって演奏される「親密な音楽」です。エマさんの語りかけ、堪能しました。
by nyankome (2007-02-22 00:03) 

さんとす

先日の感想に書きそびれましたが、リンドベルイの音階を奏する際の右手はフィゲタ2割、中指と人差し指8割でしたね。ダウランドも最初はフィゲタ、のちに mi だったようですが。リンドベルイ氏は16世紀前半のイタリア音楽を演奏する際も同じスタイルなんでしょうか?
by さんとす (2007-02-22 12:24) 

nyankome

さんとすさん
コメントありがとうございました♪
指遣いは、ばっちり見ました。低音が細かく入るところでは必ずmiでしたね。
ところで、弦はNylgutに見えたのですが。その辺りをリンドベルイさんにお尋ねしたのですが、ナイロンだとだけ仰っていました。「ガットは…。」…の部分は私の語学力不足と時間が無かった(係の方が焦っていました。)ので聞き取れませんでした。でもきっと「ガットは音程が不安定で、演奏旅行では使えないんだよ。」と仰っていたような気がします。
by nyankome (2007-02-22 21:26) 

はっさく

初めまして。エマさんのリサイタルを聴かれた方を探してお邪魔しました。
私は関東に住んでいるので、今回のツアー最終日のハクジュホールでのステージを聴きました。この日も素晴らしかったですよ(ただやはりエマさんは疲れ気味のような気がしました)。

今まであまりリュートに注目したことが無かったのですが、リンドベルイさんの演奏はこれまで聴いた中でも最高だと感じました。これまではつぶやき声のような少し頼りなげな音も魅力の一つなのかと思っていたのですが、本当に活気のある伸びやかな音色で・・・。実際にリュートを弾かれる方から聴かれても格別の音色だったのですね!
by はっさく (2007-02-22 23:47) 

nyankome

はっさくさん
コメントありがとうございます♪
>エマさんは疲れ気味
大阪でのコンサートの翌日ですものね。アンコールも4曲歌ってくれましたし、長時間サイン会も行われていました。
あんなリュートの音は初めて聴きました。私が弾いているものとは別の楽器ではないかと思いましたよ。楽器も演奏者も別格ですから仕方ないですが。(笑)
ハクジュホールのプログラムも興味深いものです。私の大好きな「アマリッリ麗し」などイタリアものからフランスのエール・ド・クールまで多彩なものですね。
by nyankome (2007-02-23 00:27) 

fallschirmjager

いいコンサートでしたね。
特にオリジナルのリュートを生で,それも屈指の名手による演奏で聴けたことは一生の思い出になりますね。
ダウランドもそうですが,パーセルもカークビーは得意としているようで,ルーリーやホグウッドと組んでオワゾリールに録音しておりました。
アンコールは夕べの賛歌でしたか。パーセル屈指の名曲ですね。
リンドベルイのリュートがあのグランドベースをどのように刻み,カークビーのクリスタルな歌声がどのようにからんでくるのか,実際生で聴きたいと思わせます。
by fallschirmjager (2007-02-23 21:47) 

nyankome

fallschirmjagerさん
コメントありがとうございます♪
アンコールまで渋い選曲でした。
>リンドベルイのリュートがあのグランドベースをどのように刻み
あのリュートで弾かれたグランド・ベースは言葉で表現できないほどでした。拙い表現ですが、うっとりするような、としか言いようがありません。エマの歌う「ハレルヤ」の部分が印象的でした。
個人的には、第二部の1曲目も好きな曲です。
そうそう、リンドベルイはオッターともこの曲を録音していました。
http://blog.so-net.ne.jp/pavane/2006-11-20
by nyankome (2007-02-24 00:10) 

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