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イタリアン、フレンチ、スパニッシュ [楽譜]

何だか美味しそうなお題ですが、リュートのタブ譜(のファクシミリ)です。

リュートの楽譜は弦の押さえるフレットを数字や記号で表したタブ譜と呼ばれるものですが、イタリア式とフランス式では上下が反対なのです。

Tab_it.jpg

Spinacinoの曲ですが、イタリア式です。上の横線が6コース(最低音弦)、下が1コース(最高音弦)、数字は押さえるフレットを表しています。この曲は4コースの1フレットから始まり5コース、6コースへと降りていきます。

慣れ親しんだ五線譜は上に行くほど音が高くなっていくので感覚が逆です。イタリア式を読むときは、五線譜の感覚を忘れて、リュートの弦を鏡に写したものだと考えるとよいようです。(リュートもギターもそうですが、構えると、最高音弦が下にきます。)

Tab_fr.jpg

FerraboscoのPavanですが、フランス式です。イタリア式と上下逆なので、五線譜と感覚が同じです。アルファベットは押さえるフレットを表していて、aが開放弦、bが1フレット、cが2フレット・・・ということになっています。この曲は2コースと3コースの3フレットと4コースの開放弦から始まります。

Tab_sp.jpg

MilanのFantasiaですが、スペイン式です。現代のギターのタブ譜に近いのがスペイン式で、フランス式のフレットの記号a、b、c・・・を0、1、2・・・に置き換えたものです。

イタリア式の感覚をつかむまでもう少し。

本日の練習:Francesco da Milanoの"Ricercar No.69"、"The Art of the Lute in Renaissance Italy Volume II : Dances"のNo.2~4(Pavana alla ferrarese, Saltarello, Piva)。

nice!(6)  コメント(19) 
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nyankome

xml_xslさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2008-08-19 06:38) 

Cecilia

それぞれのタブ譜に慣れなければならない・・・なんて大変ですね。
ルネサンスの合唱曲専門の本格的な合唱団もそうですが、古楽の世界はアマチュアといえどもネウマ譜で歌う・・・など昔の楽譜を見て演奏・・・が当たり前ですね。
五線譜に直したものも売られてないでしょうしね・・・。(笑)
by Cecilia (2008-08-19 08:09) 

さんとす

スペイン式...

 余談なんですが、すくなくともスペインではスペイン式タブラチュアという言葉はないですね。この記譜法をつかっているのは7人のスペイン・ビウエリスタ中ミランだけなので(確か他国でも使われていない)、むしろミラン式と言ったほうがいいと思いますけどね。ただ、グーグルで検索すると沢山でてきますね。この呼び方が定着したのは何故でしょう? 
by さんとす (2008-08-19 09:20) 

nyankome

Ceciliaさん
nice&コメントありがとうございます♪
新しいことを覚えるのは苦しいですが、楽しいですね。
もう少し頑張ります。
by nyankome (2008-08-19 18:05) 

nyankome

さんとすさん
コメントありがとうございます♪
>スペインではスペイン式タブラチュアという言葉はないです
そうなんですね。手持ち+ネットで探してみたのですが、このタイプはミランの楽譜しか見つからなかったので、もしやと思っていました。
日本ビウエラ協会のHPにも、スペイン式、イタリア式の記述がありますね。
by nyankome (2008-08-19 18:10) 

Papalin

> 鏡に写したものだと考えるとよいようです。

当時の人は実際にそうして練習していたのでしょうか?
by Papalin (2008-08-19 21:26) 

nyankome

Papalinさん
nice&コメントありがとうございます♪
どうなんでしょうね。
でも、鏡に写してみた弦と考えると、イタリア式タブ譜は自然な記譜法であると思わざるをえません。
by nyankome (2008-08-19 22:08) 

c-tail

鏡に映したもの・・・自分から楽器を透かして見た感じにもなるのでしょうね。
たしかに、そう考えると自然な記譜法の感じがしてきます。
弦楽器は、弦から線をイメージできるので、記譜に一番馴染みやすいのですかね。
by c-tail (2008-08-19 22:37) 

nyankome

c-tailさん
nice&コメントありがとうございます♪
>自分から楽器を透かして見た感じ
まったくその通りです。
弦楽器にとってタブ譜は、一番自然な記譜法かも知れません。
by nyankome (2008-08-19 22:58) 

さんとす

またまた余談ですが、鏡に映さないでそのまま読んだほうがいいですよ:-)
ところで、ミランなんですがビウエラ製作家フランシスコ・エルバス氏によるとベルムードの「楽器詳解」にはその名が出てこなくて、どうやらベルムードやナルバエスらはミランを知らなかったようですね。また作風も他のビウエリスタらと全く異なり、より古い形式の音楽だそうです。当時のバレンシアの政治的状況なども調べれば面白いことがあるかもしれませんね。
by さんとす (2008-08-20 01:08) 

nyankome

さんとすさん
コメントありがとうございます♪
鏡に映して読んでいる訳ではありませんのでご心配なく。(笑)
楽譜が鏡だと思って弾いています。
なるほど、ミランは他のビウエリスタとは状況が異なるのですね。
確か、NAXOSのCD(Wilsonによるミランとナルバエスのアルバム)の帯には、「16世紀のスペインでは、ビウエラという楽器がもてはやされました。これは他の欧州諸国におけるリュートと同じような楽器ですが、形は異なり現代のギターに似ています。そして数は多くありませんが、ビウエラのための優れた独奏曲が残っています。その代表例がミランとナルバエスの作品です。両者の音楽は対照的で、アマチュア奏者の前者は即興的かつ器楽的、プロの音楽家の後者は理論的かつ声楽的と、興味深い違いを楽しむことができます。」
と書かれています。
by nyankome (2008-08-20 11:01) 

nyankome

Krauseさん
niceありがとうございます♪
by nyankome (2008-08-20 11:08) 

たこやきおやじ

nyankomeさんはじめまして。もの凄く勉強になります。
by たこやきおやじ (2008-08-20 17:03) 

nyankome

たこやきおやじさん
nice&コメントありがとうございます♪
ギターを弾かれるのですね。
私もギターを弾いていたのですが、今はリュートに転向してしまいました。
ギターを弾いていたときには知らなかったことがたくさんあって、面白いです。
by nyankome (2008-08-20 23:43) 

さんとす

>楽譜が鏡だと思って弾いています。

 うぅ~ん、そのまま読んだ方がストレートでよろしい、
という意味です。これってホントに“慣れ”ですから譜面を見てひいてればそのうちにスラスラですよ。

 ところで、ナクソスの日本語帯解説(のようなもの)は結構問題があるものが多いですね。ここでは、プロとアマチュアという表現をしていますが、当時はそのような考え方はあったのでしょうか?大体、ミランの場合は宮廷人でほとんどの曲がオリジナルで構成されるビウエラ譜本を出版するほどの人物をアマチュアと表現していいものか?おそらく多くの時間をビウエラ音楽についやしていたでしょう。(ちなみに、彼はさらにカスティリオーネの宮廷人を焼きなおしたものまで出版している)ナルバエスだって宮廷に使えていて同じような生活をしていたでしょうし。

“代表例がミランとナルバエス”
 ギターの世界で知られている(それもごく一部の作品)ならそうですね。しかし作品的にはムダーラとフエンジャーナが質量的に上かと。
 さらに"前者は即興的かつ器楽的、プロの音楽家の後者は理論的かつ声楽的" これも全面的に賛成しかねるところがあります。
by さんとす (2008-08-21 17:08) 

nyankome

さんとすさん
コメントありがとうございます♪
イタリア式、頑張って練習を継続します。
NAXOSの帯の解説は誰が書いたかの記述もありませんしね。
いつも詳しい解説をありがとうございます。m(_ _)m
by nyankome (2008-08-21 21:16) 

NO NAME

 ところで、ちょっと脱線するのですが最近ビウエラ音楽で素晴らしい演奏を聴きました。アルゼンチンのギタリスト、パブロ・マルケスがギターでナルバエスを弾いたCDです。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2576934

的確な様式感をもって弾かれています。曲順もよく考えられていて参考になります。実はパブロ・マルケスとは2001年にストラスブールの友人宅で会ったことがあります。その時、私が持っていたビウエラでナルバエスの曲を数曲暗譜で演奏してくれましたが、その見事さに唖然としました。このCDを聴きその時のことがよみがえって来ました。絶対のお勧めです。
by NO NAME (2008-08-22 08:05) 

さんとす

↑署名を忘れました^^;;

 ついでに、スペイン・ビウエラ協会のギャザリングについて。
ビウエラ協会は毎年12月初旬に三日間の会合を行うのですが、今年はトレドで開催されます。今回の目玉はパリ、ジャクマールに保存されているオリジナルのビウエラが展示されることです。これは楽しみです。2001年にジャクマールをたずねた時展示されていないということで見る事が出来なかったので。
 ちなみに、私はいけなかったのですが去年はミランを主テーマとしてミランの生誕地ファティバで開かれる筈だったのですが、様々な問題によりバレンシアになったそうです。
by さんとす (2008-08-22 08:14) 

nyankome

さんとすさん
たくさんのコメントをありがとうございます♪
そのCDは既に持っています。
(予約して買いました。)
これは何度も繰り返して聴きました。
いい演奏ですね。
by nyankome (2008-08-22 19:28) 

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